見知らぬ街で地図を一瞥して目的地までの道順を頭に入れ、記憶と勘を頼りに歩き出す。
その歩みは力強く、迷いは感じられない。
ずんずんずんずん軽快にペースを上げてゆくが、なかなかたどり着かない目的地に次第に不安が心を支配する。
まだ?
もしかして、道を間違えた?
地図を確認しようとするわたしに、「迷うな」、「歩みを止めるな」の声がどこからともなく聞こえてくる。
迷いを捨て、ひたすら前だけを見つめ歩み続ければ、やがて目的地にたどり着く。
ここでの逡巡は、自ら迷路に飛び込むようなもの。
断じて行えば鬼神も之を避く。