道ならぬ恋。
自分だけのものにならないから、なお恋しい。
とうに失くしたと思っていた胸のときめき。
あの人のことを思うだけで、胸がきゅーっと苦しくなる。
この切ない気持ち、伝わっているだろうか?
それとも今のわたしは、人を好きになることに酔っているだけなのか。
飽いた家族との日常に刺激を求めただけなのか。
ふいに訪れる冷静さが、わたしを正気に引き戻す。
現実をみろ、と訴える。
わたしの不実にきっと気づいている彼女。
傷ついた心を抱えながら、それでもわたしを責めることがない。
でも、いつからか彼女から笑顔が消えていた。
……わたしは、なんてことをしてしまったんだ。
かつて祝福された私たち。
わたしの大切な人。
あの頃の気持ちを忘れたわたしが背負った、償いきれない大きな十字架。
もう会わない。
だからわたしの大切な人、あなたのそばにいさせてほしい。